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成分種類
プロスタグランジン系点眼薬 | ||||
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先発名 | キサラタン点眼液0.005% | トラバタンズ点眼液0.004% | タプロス点眼液0.0015% タプロスミニ点眼液0.0015% |
ルミガン点眼液0.03% (睫毛貧毛症用)グラッシュビスタ外用液剤0.03%5mL |
後発名 | ラタノプロスト点眼液0.005%「各メーカー」、 ラタノプロストPF点眼液0.005%「日点」 |
トラボプロスト点眼液0.004%「ニットー」 | なし | ビマトプロスト点眼液0.03%「各メーカー」 |
配合剤 | ザラカム配合点眼液(+チモロール) ミケルナ配合点眼液(+カルテオロール) |
デュオトラバ配合点眼液(+チモロール) | タプコム配合点眼液(+チモロール) |
なし |
先発品 日本での販売年 |
1999年
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2004年
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2008年
2013年(ミニ) |
2009年
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特徴 |
日本で初の1日1回PG系点眼薬
薬価が安い |
上記すべて防腐剤無添加
角膜に優しい |
日本で開発。治験も日本人。
ミニは防腐剤無添加。 |
他のPG系点眼薬よりやや降圧効果が高い。
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キサラタン(ラタノプロスト)
トラバタンズ(トラボプロスト)
タプロス(タフルプロスト)
ルミガン(ビマトプロスト)
PG関連薬(点眼薬)の歴史
- 1994年レスキュラ点眼液 販売
1日2回の緑内障治療薬の登場。
- 1999年キサラタン点眼液 販売
1日1回タイプのPG系が登場。
眼圧降圧効果作用もレスキュラ点眼液よりも優秀。
現在の緑内障治療におけるファーストラインになる。 - 2004年トラバタンズ点眼液 販売
防腐剤無添加が特徴的。
長期使用にも使いやすい。 - 2008年タプロス点眼液 販売
開発や治験が日本で行われているため、日本人に使いやすいのが特徴。
- 2009年ルミガン点眼液 販売
初のプロスタマイド受容体作動薬で今までのプロスタノイド受容体作動薬である。点眼薬にノンレスポンダーの方に期待でき、降圧効果もやや高い。
- 2013年タプロスミニ点眼液 販売
使い切りタイプで防腐剤無添加なのが特徴。
- 2018年エイベリス点眼液 販売
初のEP2受容体作動薬であり、色素沈着や睫毛の異常などの副作用がなく、見た目を気にする方などに使いやすい。降圧効果はキサラタン点眼液と比較し「非劣勢」。
- 2022年エイベリスミニ点眼液 販売
使い切りタイプで防腐剤無添加なのが特徴。
作用機序
プロスタグランジンF2α受容体(ビマトプロストはプロスタマイド受容体)を刺激することでぶどう膜強膜流出路からの眼房水の排出を促進する。瞳孔径、焦点調節、眼房水産生、隅角(シュレム管)流出路には影響しません。
ちなみに眼房水の排出の割合は隅角(シュレム官)流出路:90%、ぶどう膜強膜流出路:10%やで。
用法
4種類すべて
どの点眼薬も1日1回で一日中効果が持続します。添付文書にも記載があるが、1日2回点したり、他のPG系点眼薬を併用すると、機序は不明だが、眼圧降圧効果が下がるので、点しすぎないように注意。
どの点眼薬も1本あたり2.5mLとなっています。これは1日1回で両目に点したとして約25日分。点眼薬の開封後は衛生面の観点から1か月以内に使い切るのが良いとされているので、2.5mLという量になっています。
副作用
主な副作用は眼局所の副作用がほとんど。
【充血】
充血はプロスタグランジン系点眼薬に多いですが、この副作用は点眼初期に多い副作用です。だいたい充血のピークが8時間後なので、夕食後あたりに点すと寝ている間にピークがきて、気ならないでしょう。さらに1か月ほど点していると徐々に充血もしにくくなってきます。
【眼の痛み】
点眼薬のphや浸透圧など、また防腐剤が角膜を傷つけることで眼の痛みや違和感などが出る場合がある。その場合は薬剤を変更、防腐剤フリーのものを選択する
【虹彩の色素沈着】
虹彩は一度色素沈着してしまった場合、元に戻らないと言われています。ただ黒く変色してしまったとしても日本人の虹彩の色からしたら、あまり目立たないかもしれませんが、片方だけ点している場合は違和感が生じるかもしれません。気になったら主治医に相談するようにしましょう。
【瞼の色素沈着、睫毛の異常(睫毛が濃く、太く、長くなる)】
これらの副作用は、薬液の拭き残しがある場合に出現する確率が高くなります。対処法としては、お風呂前に点したり、点眼後は必ずティッシュなどで拭き取るようにしてください。
緑内障治療におけるのPG系点眼薬の位置づけ
開放隅角緑内障においては,プロスタノイド受容体関連薬である FP 受容体作動薬が最も優れた眼圧下降効果と点眼回数、副作用の面で良好な認容性により、第一選択薬として最も使されている。
glaucoma5th (2).pdf (nichigan.or.jp)
β遮断薬および EP2 受容体作動薬(エイベリス)も第一選択薬になり得るけど、禁忌や副作用などで使えない人もいるので、まずはPG系点眼薬といった感じかな。
薬剤別早見表
成分名 | 受容体 | 用法 | 禁忌 | 配合剤 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
イソプロピル ウノプロストン | BKチャネル | 2回/日 | なし | なし | 網膜色素変性症という難病に効果があるかも。 |
ラタノプトスト | プロスタノイド受容体(FP) | 1回/日 | なし | あり | 薬価安い。 |
トラボプロスト | プロスタノイド受容体(FP) | 1回/日 | なし | あり | どの製品も防腐剤無添加。 |
タフルプロスト | プロスタノイド受容体(FP) | 1回/日 | オミデネパグ点眼液 | あり | 日本で治験、開発された。 |
ビマトプロスト | プロスタマイド受容体 | 1回/日 | なし | なし | 眼圧降下作用がやや高い。 |
オミデネパグ イソプロピル | プロスタノイド受容体(EP2) | 1回/日 | タフルプロスト点眼併用 無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者 | なし | 色素沈着や睫毛の異常による副作用がない。 |
緑内障治療は症状の予防を目的としているため、長期間治療します。なので最初は薬価が安いキサラタン点眼液が使用されるケースが多い印象です(ジェネリックも出ていますし)。
その治療していく中で、例えば角膜障害が気になる、または角膜障害が出てしまった方は防腐剤無添加のトラバタンズ点眼液、タプロスミニ点眼液が選択肢に入ります。
キサラタンなどを使って、眼圧降圧効果があまり望めない場合は他より降圧が効果がやや高いルミガン点眼液が選択肢に入る。キサラタンやトラバタンズを使っている場合は、その成分含有の配合剤も選択肢に入るが、ルミガンの主成分であるビマトプロストは他のPG系点眼薬の作用点であるプロスタノイド受容体でなくプロスタマイド受容体に作用するので、プロスタノイド受容体にノンレスポンダーの方には選択肢に入る。
まずはキサラタンを使用して、その後は患者の希望や症状に応じて変更するようなイメージがあるかなぁ。
あくまでも点眼薬の選択は医師が決定するものなので、薬剤師側がこれがいい、あれがいいなどは言うことはありません。医師に特徴など聞かれたときに応えられるように情報は把握しておきたいですね。
レスキュラ点眼液とエイベリス点眼液について
【レスキュラ点眼液】
レスキュラ点眼液はプロスタグランジン系化合物ではあるものの、イオンチャネル(BKチャネル)を活性化することが明らかとなり、薬効分類を「イオンチャネル開口薬」としています。
眼房水を排出する作用としては変わりはないですが、主にシュレム管からの排出を促します。眼圧降下作用はキサラタンなどより弱いですが、網膜色素変性症という難病に効果があるとの報告があり、別分野で期待されています。
【エイベリス点眼液】
エイベリス点眼薬もプロスタグランジン系化合物で、日本初、世界初の選択的EP2受容体作動薬です。他のPG系点眼薬によくある色素沈着や睫毛の異常による副作用がなく、目の見た目を気にするような方には使いやすいです。
エイベリス点眼薬は他のPG系点眼薬との併用に注意です(タプロス点眼液とは併用禁忌)。また、無水晶体や眼内レンズ挿入眼の患者さんには使えないので、これもまた注意が必要です。
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