どうも!えふえむ(@fmyaku1015)です。
以前、働いてた小児科門前の薬局でのお話
今月もGE(ジェネリック)率75%付近か…なんとかGE率上げれないものか…
先輩〜そういえば門前の小児科のDr、いつもホクナリンテープが「GE変更不可」でチェックついてますよね。あれをなんとかしたら少しは上がるんではないですか?
門前のDrはあまり薬を好まず、最低限の薬しか出さない。性格は物腰柔らかな方でGE、新薬については様子を見る傾向にある。
確かに…変更不可のコメントには「薬剤の信頼性」って書いてるけど、一応相談してみるかー。
〜午後診察終了後、相談〜
後輩くん。ホクナリンテープは変更しない方向で。
ありゃ〜そうでしたか。GEなんて先発品とそう変わらないのにね。
いや後輩くん、実は…
ホクナリンテープは…
ホクナリンテープは
「結晶レジボアシステム」
という製剤工夫がされており、特許を取得しています。
仕組みは簡単に言うと
テープの中に結晶のツロブテロールが存在しており、その結晶から徐々に有効成分が放出される構造を取ることで、律速段階になり薬物放出濃度を一定かつ長時間にわたって持続する仕組みをとっています。
有効成分自体の特許はもう切れているので、他のメーカーは同じ成分のGEを販売することができるのですが、製剤工夫については特許切れていないので他メーカーはマネをすることできないのです。
先発品とジェネリックの違い
先ほども記述した通り、先発品のホクナリンテープは薬物放出濃度を一定かつ長時間にわたって持続する仕組みを取っています。
対し、ジェネリックのツロブテロールテープはホクナリンテープより放出速度がやや早いという違いがあります。
0.5mg | Tmax(h) | Cmax(ng/mL) | AUC(ng•h/mL) | T1/2(h) |
ホクナリンテープ | 12.0±2.0 | 0.267±0.057 | 5.76±1.09 | 9.9±1.4 |
ツロブテロールテープ(日医工) | 9.6±1.3 | 0.288±0.067 | 5.79±1.05 | 10.9±1.4 |
(表)ツロブテロール「日医工」のIFより
この表からもみて分かるように薬剤の放出はジェネリックのほうが早いとわかります。
理由は角質層の存在が血中への薬物浸透の律速段階になるからです。
え、じゃぁどっちでもいいんじゃ…?
アトピー患者と高齢者には注意
先発品とジェネリック、いずれも皮膚の角質層で律速段階になるので正常な皮膚の場合はあまり気にしなくても大丈夫です。
ですが
理由はどちらも角質層が荒れているからです。
角質層で律速段階となるので、その角質層が剥がれているとジェネリックのほうは皮膚浸透が一気に更新してしまい、長い時間効かなくなってしまいます。
なので、アトピー患者と高齢者に関してはジェネリックを使用するのは控えた方がよろしいでしょう。
喘息ひどい方はアトピーも持っている可能性があるので注意しておいたほうがいいですね!
剥がれた時はどうしたら?
ホクナリンテープにおける貼付12時間後の皮膚移行は24時間貼付時の85%に相当します。
つまり半日経ったらほとんどが吸収されていると考えても良いでしょう。
となるとかぶれ対策のためには
半日(12時間)経ったら剥がしても差し支えはないと言うことを伝えます。
では逆に12時間経たずに剥がれてしまった場合はどうしたらいいでしょうか。
下の図はホクナリンテープ2mgを貼付後、3、6、9、12時間に新しいものを再貼付した時の血中濃度の図です。
それぞれ再貼付した後の血中濃度は最高でも貼付しない時の1.3倍程度(2ng/mLいかないくらい)であり、これはホクナリン錠1mgを服用した時の血中濃度と比較して3分の2以下です。
(参考)ホクナリン錠1mg 添付文書より
投与量(mg) | Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | AUC0〜10(ng・hr/mL) | T1/2(hr) |
2 | 6 | 3 | 30.5 | 3.19 |
つまりは、2~3時間ほどで剥がれちゃって、また新しいのを貼ったとしても副作用のリスクは錠剤を服用した時ほどではないということなんやなぁ~
まとめ
・アトピー患者と高齢者に対してはホクナリンテープのほうがよい。
・皮膚が荒れていないのであれば先発品、ジェネリックどちらでもよい。
・剥がすのは12時間以上経ってから。
製剤工夫もしっかり理解するのも薬剤師の仕事ですよね。
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