新入社員の頃…
〜薬歴中〜
おなか痛くて受診…頓服でブスコパンっと…んん?併用薬にキサラタン…。緑内障治療薬…。ブスコパンは抗コリン…。禁忌!?あばばば。先輩!
どうしたんーそんな血相変えてー
やってしまいました!緑内障患者に抗コリン!すぐに患者様に連絡を!!
あぁ緑内障かー。まぁまぁ落ち着いて。添付文書見てみー
添付文書って…緑内障に抗コリン薬は禁忌ってならってきましたし…。ほら!添付文書にも緑内障禁忌って!
よく見てみぃて笑
え?…閉塞隅角緑内障に禁忌…。あ!
そうそう、点眼治療してる人は開放隅角のほうね!まぁでも眼圧はあげちゃう方向には働くから注意はいるね
はぁそうやったんですね…勘違いしてました…
当時はかなーり焦った記憶があります笑
今回は緑内障患者への服薬指導についてのすすめをまとめていきます。
まずは緑内障を知ろう
緑内障は失明率第一位の疾患であり、日本人の現状は40歳以上なら20人には1人の割合で緑内障をもっているとされています。
ただ、実はこれ、診断されている人の割合であって、実際は9割の人が気付かないうちに緑内障をもっているとされています。
ほとんどやん…
緑内障は眼圧が高いイメージだが、日本人の7割が眼圧が正常範囲内である正常眼圧緑内障というのに分類されている。
では、なぜ多くの人が気付かないのか?
それは
「緑内障の症状はゆっくりと進行していて、ほとんどの人が生活に支障をきたさない」から気付かないんです。
そんな疾患ですが、一口に緑内障と言ってもいろいろな種類があります。
分類 | 治療 |
原発開放隅角緑内障(広義) | 点眼薬治療 |
原発閉塞隅角緑内障 | レーザー治療、白内障手術 |
混合型緑内障 | |
続発性緑内障 | 原疾患治療 |
発達緑内障 | 手術 |
たくさん分かれますね。
僕たちが一番出会う人たちはダントツで原発開放隅角緑内障の方ですね
冒頭のやりとりでの抗コリン薬の併用禁忌は原発閉塞隅角緑内障の方やね
薬剤師が投薬するうえで気を付けないといけないことは
緑内障の種類を聞くことが大事となってきます。
緑内障疾患はまとめると
・失明率第一位の疾患
・自覚症状はかなり気づきにくく、診断時にはもう進行している
・40歳以上で20人に1人の割合。ほとんどが正常眼圧緑内障患者
・緑内障は種類によって治療が異なる
・原発閉塞隅角緑内障は急性発作的であり、薬によって起こる場合がある(1割)
治療の方針を知ろう
ほとんどの患者が正常眼圧緑内障で、眼圧が正常なら眼圧を下げる必要ないんじゃないの?って思うところやけど
※どの緑内障の種類においても眼圧を低く保つことが有効とされています。
緑内障は無治療のまま放っておくと、年を取るたびに視野が悪くなっていき、早い段階で生活が不自由になるレベルまでなります。
なので早期発見と目薬による治療はとても大事だと言えるんですね。
服薬指導のすすめ
緑内障は
・長ーく付き合うことになる超慢性疾患
・自覚症状がほとんどない
・点眼治療が主体
このことから
服薬コンプライアンス(服薬順守)
アドヒアランス(患者理解)
がきわめて重要になります。
この2つを理解してもらうには緑内障の病状についてしっかり理解してもらうことが大切です。
服薬指導しててよくあるのが
先生忙しそうだったから、あまり説明は受けていない
というのが見受けられます。
たまにコンタクトレンズの度数見るために眼科行くことあるけど、けっこう混んでるもんなぁ…
そりゃ1人1人詳しく説明してたら、まわらんよねー
※Drが仕事していないとは言ってません
そこで薬剤師の仕事ですね!
患者のコンプライアンスとアドヒアランスを向上させるには
①緑内障の病態について説明をする
②正しい点眼方法を伝える
③副作用や治療するうえでの不安などを聴取する
この3つが重要だと考えます。
①緑内障の病態について説明する
緑内障が進行すると見えなくなることと点眼を継続していればほとんど進行しないことを伝えましょう。
②正しい点眼方法を伝える
・容器の先端が眼球やまつ毛に触れないようにする
・1滴で十分(何滴も点さない)
・点眼後、瞬きをしない(点したら目は閉じておく)
・目頭を圧迫することで目に薬を滞留させる
・2種類以上ある場合は間隔をあけること
・点眼が苦手な人には、げんこつ法などで点しやすい方法を伝える
げんこつ法のやり方はこちら➡げんこつ法のやり方
③副作用や治療するうえでの不安などを聴取する
例えば
・点眼の回数が多い ➡回数が少ない目薬に変更する
・副作用が気になる ➡別の種類の目薬に変更提案
・薬の数が多い ➡配合剤に変更する
・お金が高い ➡GEに変更するなど
会話の中で不満や不安などを聴取していきましょう。
眼圧を上げる薬剤について
冒頭でのやりとりでもありましたが、緑内障の禁忌もしくは注意とされている薬剤はすべては眼圧を上げるからに他なりません。
要は瞳孔が開く作用を示す薬剤はほぼすべてと言っていいかも…
眼圧を上げる薬剤として
•抗コリン薬
ブスコパン(ブチルスコポラミン)、トランコロン(メペンゾラート)など
•交感神経刺激薬
エフェドリン塩酸塩(エフェドリン)、プリビナ(ナファゾリン)など
•抗ヒスタミン薬
ポララミン(dークロルフェニラミン)、レスタミン(ジフェンヒドラミン)など
•三環形抗うつ薬
トフラニール(イミプラミン)、アナフラニール(クロミプラミン)など
•マイナー•トランキライザー(BZD系)
デパス(エチゾラム)、コンスタン(アルプラゾラム)、レンドルミン(ブロチゾラム)、サイレース(フルニトラゼパム)など
市販の風邪薬にも眼圧を上げる成分が入っていたりするから要注意ですね
最後に
もう一度、言いますけども大切なのは
服薬コンプライアンス(服薬順守)とアドヒアランス(患者理解)です。
チーム医療ともいわれていますので、Drが言えなかったことは
しっかり薬剤師がカバーしていきましょう!
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