どうも、ふみやさん(@fmyaku1015)です。
β遮断点眼薬である緑内障治療薬ですね。
流し聴きしたい方はこちら↓
基本情報
ニプラノール、ハイパジールコーワ(二プラジロール)の基本情報 | |
---|---|
【成分名】 | 二プラジロール |
【構造式】 | |
【製品名】 |
先発品 |
【配合剤】 |
なし
|
【分類】 |
非選択的β受容体拮抗薬、緑内障・高眼圧症治療剤
|
【効能】 | 緑内障、高眼圧症 |
【用法用量】 | ニプラノール点眼液:1回1滴、1日2回点眼 ハイパジールコーワ点眼液:1回1滴、1日2回点眼 |
【ISA】 | なし |
【妊婦】 | 有益性投与 |
【授乳】 | 乳汁移行が確認されている |
【禁忌】 | 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 気管支喘息又はその既往歴のある患者、気管支痙攣又は重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者 コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)又は心原性ショックのある患者 |
【市販薬】 | なし |
ニプラノール、ハイパジールコーワ点眼液は1日2回で安定的な眼圧降下作用を示します。β遮断薬作用に加えてα1受容体遮断作用も併せ持ち、眼血流量を増加する作用もあります。
β遮断薬であるので、全身性の副作用を懸念して気管支喘息や心疾患持ちの方は禁忌となりますので注意が必要です。
β遮断薬は、通常、内因性カテコールアミンの存在下で、そのβ受容体への結合を遮断することで効果を示しますが、内因性カテコールアミンが存在しない場合はβ遮断薬自体がβ受容体を刺激する作用を持ちます。β受容体を完全に遮断してしまうことによる心機能低下の危険を部分的に緩和したい場合に有用だったりします。
作用機序
緑内障は①眼内の眼房水の量が増えて圧迫、もしくは②うまく眼房水が外に出られず眼内を圧迫することで視神経を損傷する疾患で、徐々に視力が低下していきます。
二プラジロールは毛様体に入る輸入動脈血管に存在するβ1受容体、及び毛様体筋に存在するβ2受容体を遮断し、眼房水の産生・供給を減少させることで①を改善し、眼圧降下作用を示します。
さらにα1受容体遮断作用もあるので毛様体血管を拡張させることで、眼血流量を改善する効果もあります。
瞳孔径や焦点調節などには全く影響を与えません。
ちなみに毛様体に存在するα1受容体とβ2受容体への刺激は
α1受容体…毛様体血管の収縮➡️眼房水排泄低下(眼圧上昇)
α2受容体…細胞内cAMP減少➡️眼房水産生低下(眼圧下降)
β1受容体…毛様体血管の拡張➡️眼房水産生促進(眼圧上昇)
β2受容体…β1の作用に加え、毛様体筋弛緩➡️眼房水排泄低下(眼圧上昇)
の役割があります。
ニプラジロールはβ1とβ2の受容体両方、さらにα1受容体を遮断し、眼圧は下降させる方向に働きます。
副作用
頻度が多い副作用は
- 眼のかゆみや異物感
- 角膜炎や目の充血
そして全身性の副作用である徐脈や低血圧なども少なからず報告があります。
眼のかゆみや異物感などは点眼薬ならどれも起こることのある副作用です。それも浸透圧や防腐剤が原因であることが多いので、そういったことがあれば薬剤を変更するのも視野に入れます。
プロスタグランジン系点眼薬に特徴的な色素沈着や睫毛の異常などの報告はありません。
相互作用
併用することで禁忌となる薬剤はありませんが、注意を要する薬剤はあります。
【点眼薬】 | 【内服薬】 |
アドレナリン ジピベフリン塩酸塩 | カテコールアミン枯渇剤:レセルピン等 β-遮断剤(全身投与):アテノロール、プロプラノロール、メトプロロール カルシウム拮抗剤:ベラパミル、ジルチアゼム |
挙げている点眼薬は炎症や散瞳の助長や内服薬は薬剤の効果を助長することがあります。
服薬指導
さぁ薬の事はわかりました。次はどう患者さんに指導していきましょう。
基本的な確認
- 点眼薬は上手に点すことができるか
- 病識を理解しているか
- 不安などはあるか
- 気管支喘息などの呼吸器疾患を抱えていないか
- 心疾患を抱えていないか
このあたりは確認しておきましょう。
1~3はアドヒアランスの維持に関係があります。緑内障の治療は医師や薬剤師が思ったよりもアドヒアランスが悪く、初回緑内障点眼薬処方患者は治療開始約 1 年でその40%が治療から脱落すると報告されています。
4,5は禁忌になりますので必ず確認します。
医師から指導は受けると思いますが、病識理解のためにも、薬剤師も指導の際には点眼薬の使い方と同時に緑内障がどんな病気なのかをしっかり説明していきたいですね。
眼圧が上昇することで視神経が徐々に損傷していき、視力がかなり落ちてしまいます。自覚症状がないので、アドヒアランス低下に繋がる要因でもあります。
副作用の説明
副作用の欄にもありました①目の違和感、②徐脈や低血圧、このあたりは伝えておきます。②は頻度こそ少ないですが、起こることがあるということは伝えておいたほうがいいかもしれません。
眼の沁みや痛みなどが気になる場合は医師に薬剤変更提案することを考えます。
点し方の説明
用法は1日2回です。
また、手が震える、容器が持ちにくいなどあれば、げんこつ法やGEメーカーへの変更提案など視野に入れましょう。
保存条件
ニプラノール点眼液、ハイパジールコーワ点眼液はどちらも室温保存です。開封後は1か月以内に使い切るようにしましょう。
コメント