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成分種類
β遮断点眼薬 | |||||
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先発名 | チモプトール点眼液0.25%,0,5% チモプトールXE点眼液0.25%,0.5% リズモンTG点眼液0.25%,0.5% |
ミケラン点眼液1%,2% ミケランLA点眼液1%,2% |
ペトプティック点眼液0.5% ペトプティックエス懸濁性点眼液0.5% |
ニプラノール点眼液0.25% ハイパジールコーワ点眼液0.25% |
ミロル点眼液0.5% |
後発名 | チモロール点眼液0.25%,0.5%「各メーカー」 チモロールPF点眼液0.25%,0.5%「日点」 チモロールXE点眼液0.25%,0.5%「各メーカー」 |
カルテオロール塩酸塩点眼液1%,2%「各メーカー」 カルテオロール塩酸塩PF点眼液1%,2%「日点」 カルテオロール塩酸塩LA点眼液1%,2%「各メーカー」 |
ベタキソロール点眼液0.5%「SW」 | ニプラジロール点眼液0.25%「各メーカー」 ニプラジロールPF点眼液0.25%「日点」 |
レボブノロール塩酸塩点眼液0.5%「ニッテン」 レボブノロール塩酸塩PF点眼液0.5%「日点」 |
配合剤 |
ザラカム配合点眼液(+ラタノプロスト) |
ミケルナ配合点眼液(+ラタノプロスト) | なし | なし | なし |
先発品 日本での販売年 |
チモプトール点眼液:1981年
チモプトールXE点眼液:1999年 リズモンTG点眼液:1999年 |
ミケラン点眼液:1984年
ミケランLA点眼液:2007年 |
ペトプティック点眼液:1994年
ペトプティックエス懸濁性点眼液:2002年 |
ニプラノール点眼液:1999年
ハイパジールコーワ点眼液:1999年 |
ミロル点眼液:2000年(2020年販売中止)
|
特徴 |
日本初のβ遮断点眼薬。
配合薬も多く発売されています。 |
ISAを持っており、徐脈や喘息などを引き起こしにくい。
高齢者に使いやすい。 |
β1選択性遮断薬なので呼吸器系の疾患持ちの
方にも注意しながらだが使える。 妊婦に禁忌。 |
β遮断作用に加え、α1受容体遮断作用を示す。
眼血流量を増加させる作用もあり。 |
|
チモプトール、リズモン(チモロール)
ミケラン(カルテオロール)
ペトプティック(ベタキソロール)
ニプラノール、ハイパジールコーワ(二プラジロール)
ミロル(レボブノロール)
β遮断点眼薬の歴史
- 1981年チモプトール点眼液 販売
日本初のβ遮断点眼薬。
- 1984年ミケラン点眼液 販売
ISA作用を持つ点眼薬の登場。高齢者に使いやすい。
- 1994年べトプティック点眼液 販売
β1受容体選択性遮断薬なので呼吸器系疾患持ちの方にも慎重投与だが使用できる。
- 1999年ニプラノール点眼液,ハイパジールコーワ点眼液 販売
チモプトールXE点眼液 販売α1受容体遮断作用も併せ持つニプラノール、ハイパジールコーワ点眼液の登場。眼血流量増加作用あり。
チモプトール点眼液の1日2回のデメリットを解消した1日1回タイプのチモプトールXE点眼液が登場。
- 2000年ミロル点眼液 販売
αβ遮断作用を持つ成分で初の1日1回製剤。
- 2002年べトプティックエス懸濁性点眼液 販売
ベトプティック点眼液の目の沁みを改善した点眼薬。
- 2007年ミケランLA点眼液 販売
ミケラン点眼液の1日2回のデメリットを解消した1日1回タイプの点眼薬。
- 2020年ミロル点眼液 販売中止
後発品は残ります。
- 2023年べトプティック点眼液,べトプティックエス懸濁性点眼液 販売中止予定
後発品は残ります。
作用機序
毛様体に入る輸入動脈血管に存在するβ2受容体を遮断し、血管を収縮させて眼房水の産生・供給を減少させる。
➡️眼圧低下
瞳孔径や焦点調節などには全く影響を与えない。
ちなみに毛様体に存在するα1受容体とβ2受容体への刺激は
α1受容体…毛様体血管の収縮➡️眼房水排泄低下(眼圧上昇)
α2受容体…細胞内cAMP減少➡️眼房水産生低下(眼圧下降)
β1受容体…毛様体血管の拡張➡️眼房水産生促進(眼圧上昇)
β2受容体…β1の作用に加え、毛様体筋弛緩➡️眼房水排泄低下(眼圧上昇)
の役割がある。
β遮断薬はβ1とβ2の受容体を遮断するので眼圧は下降させる方向に働きます。
用法
基本は
ただし…
粘稠性を持たせて持続性を向上させているものは
1日1回
こちらの4種類ですね。
(チモプトールXE、リズモンTG、ミケランLA、レボブノロール)
プロスタグランジン関連薬のように【色素沈着やまつ毛の伸びなどの副作用防止のために洗顔前に点眼を推奨】ということはないので、点すタイミングは12時間以上あいてれば、いつでも点して問題ないです。
副作用
眼局所の副作用
【充血】
プロスタグランジン系点眼薬ほどではないが、起こる可能性はあります。
【眼の痛み】
点眼薬のphや浸透圧など、また防腐剤が角膜を傷つけることで眼の痛みや違和感などが出る場合があります。その場合は薬剤を変更、防腐剤フリーのものを選択します。
全身性の副作用
【気管支喘息の悪化】
気管支平滑筋に存在するβ2受容体を遮断することで、気管支平滑筋が収縮し、喘息を悪化させる可能性がありますので、非β遮断薬のベタキソロール点眼液以外のβ遮断点眼液は禁忌となります。
【心疾患系の悪化】
心臓に存在するβ1受容体を遮断することで、アドレナリンの働きを妨げることになり、その結果、心臓の機能を低下させ、心不全や不整脈などを引き起こすことがあります。すべてのβ遮断点眼液が禁忌となります。
緑内障治療におけるのβ遮断点眼薬の位置づけ
β遮断点眼薬はプロスタグランジン系点眼薬が登場するまでは第一選択薬でした。
β遮断点眼薬はプロスタグランジン系点眼薬と並び、第一選択薬になり得ますが、全身性の副作用(気管支喘息、心疾患悪化)があることから、選択する際には注意が必要となります。
どうしてもそのことからプロスタグランジン系点眼薬がファーストラインになりがちですが、プロスタグランジン系点眼薬は眼房水排泄促進、β遮断点眼薬は眼房水産生減少と作用点が違うので、併用することで単剤より、より眼圧を下げる事がわかっています。
チモロールやカルテオロールはプロスタグランジン系の成分と一緒になっている配合剤が発売されています。
薬剤別早見表
成分名 | 受容体 | ISA | 用法 | 禁忌 | 配合剤 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
チモロール | β1,2 | なし | 1回/日 2回/日 | 呼吸器系疾患 心疾患 | あり | 配合剤の製品多い |
カルテオロール | β1,2 | あり | 1回/日 2回/日 | 呼吸器系疾患 心疾患 | あり | 高齢者使いやすい |
ベタキソロール | β1 | なし | 2回/日 | 心疾患 妊婦 | なし | 呼吸器系副作用 起こしにくい |
ニプラジロール | α1,β1,2 | なし | 2回/日 | 呼吸器系疾患 心疾患 | なし | 眼血流量増加作用あり |
レボブノロール | α1,β1,2 | なし | 1回/日 | 呼吸器系疾患 心疾患 | なし | 眼血流量増加作用あり |
基本は禁忌や副作用などを回避、またはアドヒアランスなどを考慮して薬剤を選択する場面が多そうです。例えば1日2回点すのが厳しい人はチモロールやカルテオロール、レボブノロール。喘息の気がある方はベタキソロールといった具合ですかね。
緑内障の治療はけっこうアドヒアランスが悪いから1日1回の用法の製品を軸に考えることが多いかも?
とまぁこうは書きましたが、薬剤を選択するには医者なので、僕ら薬剤師はそれぞれの特徴を把握して情報提供できるようにしておきましょう。
チモプトール点眼液0.25%・0.5% インタビューフォーム (santen.co.jp)
チモプトールXE点眼液0.25%/0.5% インタビューフォーム (santen.co.jp)
リズモンTG点眼液 インタビューフォーム (wakamoto-pharm.co.jp)
ミケラン点眼液1%・2% インタビューフォーム(otsuka-elibrary.jp)
ミケランLA点眼液1%・2% インタビューフォーム(otsuka-elibrary.jp)
【ベトプティック点眼液0.5%】医薬品インタビューフォーム_2020年7月改訂 (novartis.co.jp)
【ベトプティックエス懸濁性点眼液0.5%】医薬品インタビューフォーム_2020年7月改訂 (novartis.co.jp)
ニプラノール点眼液0.25%インタビューフォーム (teika-products.jp)
ハイパジールコーワ点眼液0.25% インタビューフォーム(kowa.co.jp)
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