高血圧治療まとめ↓
作用機序・特徴
血管の収縮・弛緩には血管平滑筋細胞へのCa2⁺の流入が大きな役割を果たしている。Ca拮抗薬は、Ca2⁺の流入を阻害して血管を拡げることで血圧を下げる。
型
作用する部位によって3つの型に分かれ、L型はさらに3つのチャネルに分かれる。
特徴
- 急に服用を中止すると、狭心症の悪化、血圧上昇などの退薬症候群が見られることがあるので、勝手に使用を中止しない。
- Ca拮抗薬は、そのほとんどが肝臓で代謝されるので、肝機能が低下している患者には投与間隔の調節が必要。
薬剤別・種類
マイナーどころは割愛。よく処方されるものをピックアップ。
アダラート(ニフェジピン)
用法用量・効能
・アダラートL錠、セパミットRカプセル、R細粒、ヘルラートL錠
本態性高血圧症,腎性高血圧症
通常成人1回10〜20mgを1日2回経口投与する。症状に応じ適宜増減する。
狭心症
通常成人1回20mgを1日2回経口投与する。症状に応じ適宜増減する。
高血圧症
通常,成人にはニフェジピンとして20〜40mgを 1 日 1 回経口投与する。ただし, 1 日10〜20mgより投与を開始し,必要に応じ漸次増量する。なお, 1 日40mgで効果不十分な場合には, 1 回40mg 1 日 2 回まで増量できる。
腎実質性高血圧症,腎血管性高血圧症
通常,成人にはニフェジピンとして20〜40mgを 1 日 1 回経口投与する。ただし,1 日10〜20mgより投与を開始し,必要に応じ漸次増量する。
狭心症,異型狭心症
通常,成人にはニフェジピンとして40mgを 1 日 1 回経口投与する。なお,症状に応じ適宜増減するが,最高用量は 1 日 1回60mgとする。
特徴
L型。降圧作用が強い。効果発現が早く、副作用として心拍数の上昇が認められるが、L錠、CR錠の製剤工夫により改善。
アムロジン、ノルバスク(アムロジピン)
高血圧症
成人…通常、成人にはアムロジピンとして2.5〜5mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じ適宜増減するが、効果不十分な場合には1日1回10mgまで増量することができる。
小児…通常、6歳以上の小児には、アムロジピンとして2.5mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
狭心症
通常、成人にはアムロジピンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じ適宜増減する。
特徴
L型。半減期が非常に長い(t1/2:39h)。他剤よりも顔面紅潮や頭痛、頻脈、浮腫などの副作用が少ないのが特徴。またGFJの相互作用も少なく、安全性も高い。現在の主力。
カルブロック(アゼルニジピン)
高血圧症
通常、成人にはアゼルニジピンとして8〜16mgを1日1回朝食後経口投与する。なお、1回8mgあるいは更に低用量から投与を開始し、症状により適宜増減するが、1日最大16mgまでとする。
特徴
L,T型。降圧作用が緩徐で長時間持続し、反射性頻脈が起きにくい。腎臓保護効果あり。酸化ストレスや終末糖化産物の低下も報告されている。
アテレック(シルニジピン)
高血圧症
通常、成人にはシルニジピンとして1日1回5〜10mgを朝食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。効果不十分の場合には、1日1回20mgまで増量することができる。ただし、重症高血圧症には1日1回10〜20mgを朝食後経口投与する。
特徴
L,N型。単純な降圧作用は他より劣るが、腎保護作用や心拍数を抑える効果がある。さらにインスリン抵抗性の改善、尿酸低下作用、尿中アルブミン減少作用なども報告されている。
コニール(ベニジピン)
高血圧症、腎実質性高血圧症
通常、成人にはベニジピン塩酸塩として1日1回2〜4mgを朝食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、効果不十分な場合には、1日1回8mgまで増量することができる。ただし、重症高血圧症には1日1回4〜8mgを朝食後経口投与する。
狭心症
通常、成人にはベニジピン塩酸塩として1回4mgを1日2回朝・夕食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
特徴
L,T,N型。降圧作用はやや穏やか。T型を遮断するので、腎臓保護効果あり。冠攣縮の予防効果が多剤より有効とされている。
ヘルベッサー(ジルチアゼパム)
用法用量・効能
狭心症、異型狭心症
通常、成人には1回30mgを1日3回経口投与する。効果不十分な場合には、1回60mgを1日3回まで増量することができる。
本態性高血圧症(軽症~中等症)
通常、成人には1回30~60mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
狭心症、異型狭心症
通常、成人には1日1回100mgを経口投与する。効果不十分な場合には、1日1回200mgまで増量することができる。
本態性高血圧症(軽症~中等症)
通常、成人には1日1回100~200mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
特徴
L型D部位。冠動脈の拡張作用が強く、血圧はあまり下げないので、正常血圧の狭心症によく用いられる。また心筋にも作用するので、頻脈傾向の患者にも効果的。作用はニフェジピンとベラパミルの中間ぐらいのイメージでいい。
ワソラン(ベラパミル)
頻脈性不整脈(心房細動・心房粗動、発作性上室性頻拍)
成人…通常、成人には1回40~80mgを、1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
小児…小児には、1日3~6mg/kg(但し、1日240mgを超えない)を、1日3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患
通常、成人には1回40~80mgを、1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
特徴
L型V部位。心臓選択性が強く、降圧目的では使用されず、基本的には抗不整脈で使用される。ベラパミルはCYP3A4代謝でP糖タンパクの基質でもあるため、相互作用注意。
副作用
Ca拮抗薬の副作用は
が現れやすい。
特に高齢者は血圧の変動が激しいため、急激な血圧低下によるふらつきには十分注意!
グレープフルーツジュース(GFJ)について
Ca拮抗薬と言えばGFJ。
GFJに含まれるフラボノイドが小腸に存在するCYP3A4を阻害することによりCa拮抗薬の代謝を妨げ、薬剤の血中濃度を上げる。一度阻害すると、小腸のCYPが回復するのに2~4日かかると言われている。
毎日、降圧剤は服用するのでGFJは飲まない方がいいよ…
グレープフルーツの果肉にもフラボノイドは含有しているため、ニフェジピンやシルニジピン、ベニジピンなどのAUCに大きな影響を受ける薬剤については果肉も控えるように伝えます。
フラボノイド含有柑橘類
GFJ、ザボン、ブンタン、スウィーティー、ダイダイは含有している。
オレンジ、オレンジジュース、レモン、温州みかん、カボスなどは非含有。
AUC上昇率
強い
アゼルニジピン…約3.3倍
シルニジピン…約2.3倍
ニフェジピン…約2倍
やや強い
ベニジピン…約1.6倍
ベラパミル…1.28倍~1.42倍
弱い
アムロジピン…1.08倍~1.16倍
ジルチアゼム…1.03倍~1.1倍
薬剤によっては全然違うので、もしGFJを飲んでしまった場合の副作用の発現頻度は変わってきますね。
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