↓泌尿器系まとめ
作用機序
コリン剤は筋肉の収縮運動を引き起こす物質、アセチルコリンと同様の作用を示し、排尿筋を収縮させることで尿を出しやすくする。薬剤自体が直接受容体に作用するので直接型に分類。
コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬はアセチルコリンを分解させるコリンエステラーゼという酵素を阻害することでアセチルコリンの濃度を高め、排尿筋を収縮させることによって尿を出しやすくする。間接的にアセチルコリンの働きを高めるので間接型に分類。
コリン剤
ベサコリン(ベタネコール)
・消化管機能低下のみられる下記疾患
慢性胃炎
迷走神経切断後
手術後及び分娩後の腸管麻痺
麻痺性イレウス
手術後、分娩後及び神経因性膀胱などの低緊張性膀胱による排尿困難(尿閉)
ベタネコール塩化物として、通常成人1日30~50mgを3~4回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
禁忌
- 甲状腺機能亢進症の患者
- 気管支喘息の患者
- 消化管及び膀胱頸部に閉塞のある患者
- 消化性潰瘍の患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
- 冠動脈閉塞のある患者
- 強度の徐脈のある患者
- てんかんのある患者
- パーキンソニズムのある患者
特徴
消化管や膀胱平滑筋に対する作用は強いが、循環器系への作用は弱い。コリンクリーゼによる副作用に注意。
ChE阻害薬
ウブレチド(ジスチグミン)
- 手術後及び神経因性膀胱などの低緊張性膀胱による排尿困難
- 重症筋無力症
- ジスチグミン臭化物として、成人1日5mgを経口投与する。
- ジスチグミン臭化物として、通常成人1日5~20mgを1~4回に分割経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
禁忌
- 消化管又は尿路の器質的閉塞のある患者
- 迷走神経緊張症のある患者
- 脱分極性筋弛緩剤(スキサメトニウム)を投与中の患者
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
特徴
効果発現が1時間。効果持続が72時間と長い。排尿困難の治療に対しては1日1回の投与で済む。
ワゴスチグミン(ネオスチグミン)
- 重症筋無力症
- 消化管機能低下のみられる、慢性胃炎、手術後及び分娩後の腸管麻痺、弛緩性便秘症
- 手術後及び分娩後における排尿困難
- 通常,成人にはネオスチグミン臭化物として1回15~30mgを1日1~3回経口投与する。なお,症状により適宜増減する。
- 3.通常,成人にはネオスチグミン臭化物として1回5~15mgを1日1~3回経口投与する。なお,年齢,症状により適宜増減する。
禁忌
- 消化管又は尿路の器質的閉塞のある患者
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 迷走神経緊張症の患者
- 脱分極性筋弛緩剤
特徴
効果発現が15-20分で効果持続が2-4時間。効果時間が短いため、単剤使用はされない。口周りの動きの障害がある場合(球症状)に使われる筋注製剤もある。
服薬指導
上記の薬剤いずれにおいても副作用であるコリン作動性クリーゼの注意喚起を行う。
クリーゼとは生体の昨日のバランスが破綻し多彩な障害が現れる。
コリン作動性クリーゼは投与開始から2週間以内に起こる可能性が高く、初期症状として
- 悪心・嘔吐
- 腹痛
- 下痢
- 唾液分泌過多
- 発汗
- 徐脈
- 縮瞳
- 呼吸困難
などがあり、こういった症状が現れた際は薬の服用を中止するとともに直ちに医師に連絡をし、指示を仰ぐように伝える。
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