↓糖尿病薬 まとめ
作用機序
食事を摂ると消化管からインクレチンが分泌される。このインクレチンは膵β細胞に作用してインスリンの分泌を促す。
しかし、消化管から分泌されたある程度のインクレチンはDPP4という酵素で分解されてしまい、充分にインスリン分泌ができなくなってしまう。
DPP4阻害薬はこのDPP4の作用を阻害する事によりインクレチンの量を増やす。
血糖値が通常または低い場合はインスリンの作用を増強させないので低血糖の副作用は少ない。
薬剤別 種類
ジャヌビア、グラクティブ(シタグリプチン)
2型糖尿病
通常、成人にはシタグリプチンとして50mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg1日1回まで増量することができる。
ただし
30≦Ccr<50
男性:1.5<Cr≦2.5
女性:1.3<Cr≦2.0
の場合は1日25mg MAX50mg
Ccr<30
男性:Cr>2.5
女性:Cr>2.0
の場合は1日12.5mg MAX25mg
特徴
- 世界初のDPP4阻害薬
- 腎排泄型
- 適応は食事、運動療法、SU剤、チアゾリジン系、ビグアナイド系で効果不十分な場合
エクア(ビルダグリプチン)
2型糖尿病
通常、成人には、ビルダグリプチンとして50mgを1日2回朝、夕に経口投与する。なお、患者の状態に応じて50mgを1日1回朝に投与することができる。
中等度以上の腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者では、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、50mgを1日1回朝に投与するなど、慎重に投与すること。
特徴
- 他のDPP4阻害薬に比べて作用時間が短い(12-24時間)
- 重篤な肝機能障害のある患者には使えない
- 消失経路は加水分解(肝臓のCYPで代謝されるわけではない)
- 適応は食事、運動療法、SU剤で効果不十分な場合
ネシーナ(アログリプチン)
2型糖尿病
通常、成人はアログリプチンとして25mgを1日1回経口服用する。
腎機能の状態に応じて量を調整
特徴
- 腎排泄型
- 適応は食事、運動療法、α-グルコシダーゼ阻害薬で効果不十分な場合
トラゼンタ(リナグリプチン)
2型糖尿病
通常、成人にはリナグリプチンとして5mgを1日1回経口投与する。
特徴
- 胆汁排泄型なので腎機能が落ちている患者にも安心して使用できる。
- 1日2.5mgじゃ血糖値を下げる効果が弱いので一応疑義した方がいい。
- 10mgと5mgじゃ血糖値降下作用は変わらないと言われている。
- 腎保護作用も報告されている。
- 半減期が最も長い(105hr)
テネリア(テネグリプチン)
2型糖尿病
通常,成人にはテネリグリプチンとして20mgを1日1回経口投与する.なお,効果不十分な場合には,経過を十分に観察しながら40mg1日1回に増量することができる。
特徴
- 肝臓で2/3が代謝され、腎臓から1/3が排泄されるので、腎機能障害の方にも使いやすい。
- 軽度・中等度の肝機能障害の方には使えるが、高度は厳しい。まぁそういった人にあえてこの薬は選択はしないと思うが、、
- 適応は食事、運動療法、SU剤、チアゾリジン系で効果不十分な場合
スイニ―(アナグリプチン)
用法用量・適応
2型糖尿病
用法 通常、成人はアナグリプチンとして1回100mgを1日2回朝夕に経口服用する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を200mgまで増量することができる。
ただし
Ccr<30
男性:Cr>2.4
女性:Cr>2.0 の場合は
100mg、1日1回
特徴
- 腎排泄型
- 1日2回の服薬により、GLP-1の作用を高めることで24時間にわたる血糖低下作用を有す。
- DPP-4に対して高い選択性を有す。DPP-4に類似する酵素(DPP-8、DPP-9など)を阻害することなく(皮膚障害の副作用が少ない)、選択的にDPP-4を阻害する
- LDLコレステロール低下作用がある。
- 適応は食事、運動療法、SU剤、チアゾリジン系、ビグアナイド系、α-グルコシダーゼ阻害薬で効果不十分な場合。
オングリザ(サキサグリプチン)
2型糖尿病
通常、成人はサキサグリプチンとして5mgを1日1回経口服用する。なお、患者の状態に応じて2.5mgを1日1回経口服用することができる。
ただし
Ccr<50
男性:Cr>1.4
女性:Cr>1.2 の場合は
2.5mg 1日1回
特徴
- 腎排泄型 25%はCYP3A4/5
- 他の血糖降下薬との併用制限がない。
- DPP-4阻害作用としては強め
- 透析患者にも使用できる
ザファテック(トレラグリプチン)
2型糖尿病
通常、成人にはトレラグリプチンとして100mgを1週間に1回経口投与する。
腎機能の状態に応じて量を調節
- 腎排泄型
- 半減期は15時間くらいだが低い濃度でも効果は持続するので効果が長く続く。
- 高度腎機能障害患者には使えない(マリゼブは半量で使える)
マリゼブ(オマリグリプチン)
用法用量・適応
通常、成人にはオマリグリプチンとして25mgを 1週間に1回経口投与する。
ただし
eGFR<30
男性:Cr>1. 9
女性:Cr>1. 4 の場合は
週1回12.5mg
特徴
- 特定の組織に蓄積せず、体内に広く分布するため、腎臓での単位時間あたりの濾過量が少ない
- 腎臓で排出される時にほとんどが再吸収されるので効果が長く続く。
副作用
- 単体では低血糖を起こしにくいがインスリン製剤やSU剤などの併用で重篤な低血糖が報告されているので、注意が必要。
- DPP-4に類似する酵素(DPP-8、DPP-9など)を阻害することで皮膚障害のリスクがある。
飲み忘れた場合
昼までに飲み忘れに気づいた場合は、気づいたときに飲む。それ以降は、次の日に服用する。
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