今回は有名中の有名、酸化マグネシウムについて。
今やマグミットⓇ(酸化マグネシウム)は便秘薬として数多くの人に使われており、我々薬剤師や使用されている患者さんも、たいした副作用もなく癖になりにくい安全な薬と思っている方も多いのではないでしょうか?
毎回、マグミットの処方がある患者さん…
お通じの具合どうですか?
逆に下痢されてませんか?
毎回同じ、服薬指導…
いやまぁ確かに安全な薬ですし、副作用も少ないですし、便通の具合なども聞くことは大切です。
が、ワンランク上の薬剤師になるためにもうちょっとだけ視野を広げてマグミットのことについて見ていきましょう。
酸化マグネシウムの体内動態
まずはマグミットこと酸化マグネシウムを服用すると体内ではどのように動いていくかを見ていきます。
吸収について
経口投与され、胃の中に入った酸化マグネシウムの多くは胃酸と反応して溶けて、その一部が主に小腸と結腸を通して吸収される。
吸収率は約15%と示唆されている。
排泄について
約15%が尿中、約85%が糞中に排泄。
この尿中の15%のうち11%は24時間までに排泄される。
つまり96%が1日で排泄される。
ほとんどですね。
そもそもマグミットが便秘薬として使われている理由として
腸内において、浸透圧を上げて水分を呼び込み、便を柔らかくすることで出しやすくする
ということですので、ほとんど吸収されないのはデータから見ても納得ですよね。
吸収されてもほとんどが排泄するのなら安全?
さて、体内に吸収されないのは分かりました。
では体内に吸収されているマグネシウム、ここに注目していきたいのですが、さきほども排泄の項目で示したように、吸収されても通常はほとんどが尿として排泄されます。
つまり腎臓を通って、マグネシウムが排泄されます。
そう。腎臓です。
ここでピンとくる方はとても優秀ですね(何様)
そうです。腎機能が落ちている方はマグネシウムが排泄されにくいのです。
とどのつまり、高マグネシウム血症のリスクが上昇するんですよね。
なので、高齢者や腎透析を受けている方には注意が必要です。
高齢者に関しては腎機能は落ちているものと考えた方がいいですね。
高マグネシウム血症
症状としては
•悪心•嘔吐 •皮膚紅潮
•口渇 •筋力低下
•血圧低下 •傾眠
•徐脈
があります。
さらに重度な症状となると
•呼吸抑制
•意識障害
•不整脈
•心停止
に至ることもあります。
服薬指導では
さて、高マグネシウムのことを理解したうえで患者さんに何を伝えるか、聞くかですね。
基本的には
お通じはいかがですか?下痢されてませんか?
でいいですが、それに加えて
力が入りにくい、または、口が乾く、気持ちが悪い、食欲がないなどはありませんか?
などの質問をプラスで聞くといいかもしれませんね。
あとは定期的に血液検査をしてるかどうかも聞いておいたほうがいいですね。
最後に
普段出し慣れている薬でも、理解し切れていない部分もあったりするので、細かい所まで理解して、服薬の幅が広がればいいなと思います。
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