どうも!えふえむ(@fmyaku1015)です。
第一子が生まれたての頃
帝王切開での出産だったので、奥さんが1週間の入院。
そこで1週間の予定表を見てみると、赤ちゃんの予定に「ケイツーシロップを投与します」の文言が。
以前配属してた門前の小児科でも、たまにK2シロップが出ることがあるので、「おっ、生まれてすぐ飲むのか!」と。
今回はそんなケイツーシロップについてまとめていきます。
ケイツー(K2)シロップって??
ケイツーシロップはその名の通り、ビタミンK2を含むシロップ製剤。
◆適応
- 新生児出血症及び新生児低プロトロンビン血症の治療
- 新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防←※保険給付の対象とならないので注意。
◆用法用量
- 1日1回、1mLを経口投与する。なお症状に応じて3mLまで増量する。
- 出生後、哺乳が確立したことを確かめてから、1回1mLを経口投与する。その後、2回目として生後1週間または産科退院時のいずれか早い時期、3回目として生後1か月後にそれぞれ1回1mLを経口投与する。ただし、1ヶ月健診時にビタミンK欠乏が想定される症例では、生後1ヶ月を超えて投与を継続すること等考慮する。
ビタミンKの作用
ビタミンK依存性タンパク質の活性化に必須。主な作用として
- 血液の凝固
- 組織の石灰化
に関わる。
ビタミンKの産生
ビタミンKは自ら作り出す事ができない。腸に存在する腸内細菌によってビタミンB群や、ビタミンKの合成を行っている。
赤ちゃんが飲む理由
ビタミンKはヒトが自ら作り出す事ができず、腸内細菌が作り出すってことは述べました。
もうここで察しのつく方はいると思いますが、そうです、生まれたばかりの赤ちゃんは腸内細菌が充分に存在しないんです。
つまり充分な量のビタミンKが産生できないので、出血や骨が薄くなってしまう可能性が出てきます。
参照: 大塚製薬HP 光岡知足著「腸内フローラと食餌」より
新生児のビタミンK欠乏性貧血は起こる確率は低いものの起こると重篤な後遺症や、最悪死に至ることがあるので個人的には…というか確実に服用した方がいいね。
他にも新生児がビタミンKを欠乏する理由として、十分な解明はされていないが
- ビタミンKは胎盤移行性が悪く、出生時の備蓄が少ない。
- 母乳中のビタミンK含有量は少なく、個人差が大きい。また母乳分泌や新生児の哺乳量も個人差がある。
- ビタミンKの吸入能が低い。
などが挙げられる。
今の時代、病院で出産し、病院管理のもとでケイツーシロップは確実に服用すると思うけど、実際飲ませなかったとして新生児が死亡してしまった事件も起こっています。
投与する時期
用法用量のところとかぶるが、簡単にまとめ。
●1回目
出生後、何回か哺乳できたことを確認できたら、1回1mL経口投与。なお、ケイツーシロップは高浸透圧のため白湯などで10倍に薄めて投与する。
➡高浸透圧だと壊死性腸炎が発症するという海外での報告がある。
ケイツーシロップの浸透圧は約2700mOsm/Lであり、ヒトの血漿浸透圧は285±5mOsm/L。
ヒトの血漿浸透圧に合わせようとすると約10倍ほど薄める必要がある。
●2回目
生後1週間後or産科退院時に1回1mL経口投与。
●3回目
1ヶ月検診時に1回1mL経口投与。
●それ以降について(必ず主治医と相談してね)
- 非常にまれだが肝臓などに障害がある新生児は日本及びEU諸国の調査で3回の投与だけでは乳児ビタミンK欠乏性出血症の報告があるので、発症予防のため、生後3ヶ月までの10週間、週1回投与することもある。
- 新生児が黄疸や便の色がかなり薄いようなことがある、つまり新生児肝炎や胆道閉鎖症などの疾患があると腸内細菌が十分に存在していたとしても胆汁によるビタミンKの吸収が上手くできないので注意。
- 長期間の抗生剤の投与などで腸内細菌叢が破壊されると十分にビタミンKが産生されないので注意。
飲ませ方
最初に言っときますが直接原液を流し込むのはよくありません。必ずスプーンや哺乳瓶などに移して飲ませてあげてください。
スプーンで飲ませる場合
スプーンにシロップを少しずつ取り分けて、ほほの内側に流し込む。
哺乳瓶の乳首で飲ませる場合
哺乳瓶の乳首だけをくわえさせて、シロップを少しずつ流し込む。
哺乳瓶で飲ませる場合
- ミルク
- 母乳
- 湯冷まし
これらにシロップを混ぜて飲ませる。ただし赤ちゃんが飲み切れる量(10mL以下)で調整すると良い。
最後に
子供が生まれてから子供への服用の難しさが痛感しますね💦
まぁケイツーシロップはまだ味があんまりわかんない時期に投与するものなので最初のうちは苦労しないかも?
ちなみに味は薄い砂糖水(少し酸っぱい感じも?)のような感じです。
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