どうも、ふみやさんです。今回はこんなお話から。
シメチジン細粒処方かぁ。在庫あったかなぁ。
子供ちゃんにシメチジン?胃の調子が優れないのかな?
あいや、これはきっとあれや。発熱に使うやつやで。
え!?胃薬と熱って全然関係なくない!?
まぁ初見はわからん(笑)
本来の作用機序
ヒスタミンH2ブロッカーに分類され、胃の壁細胞に存在するH2受容体を競合的に阻害することで胃酸の分泌を抑える。
この作用機序により胃酸過多による胃潰瘍や急性、慢性胃炎に用いられる。
H2受容体って胃粘膜だけ?
H2ブロッカーの適応は胃粘膜のH2受容体をブロックすることで胃酸を抑え胃薬として一般的に用いられる。
ではH2受容体は胃粘膜しかないかと言うとそういうわけではない。
実はH2受容体は胃粘膜だけじゃなく、実は平滑筋やリンパ球、中枢神経系などにも存在し、それぞれ体内で生理活性を示している。
胃薬以外に使われる要因としては、それぞれに存在するH2受容体に作用することで治療効果を期待しているものがある。
適応外処方やなぁ
今回、小児に出ていたシメチジン細粒は周期性発熱症候群に使われていました。
周期性発熱症候群って何?
周期性発熱症候群(PFAPA)とは39~40℃以上の発熱が突然出現し、3~6日続く。発熱の間隔は平均24日(3~8週)で、規則性がみられる。熱が引いている期間は割と元気なのが特徴。
原因は 免疫系の異常と言われている。人間は体の中に異物(細菌やウイルス、花粉など)が侵入すると免疫系の主役であるリンパ球が異物を排除し、健康を維持するが、この免疫機能に異常が生じるとリンパ球が勘違いをして自己を攻撃してしまい、発熱や炎症を起こしてしまうというわけです。
治療法は引用
有効性が最も高いのは発作時の副腎皮質ステロイド剤の投与ですが、発作間隔を短縮し、次の発作が早く発来したり、発熱以外の症状が残存する場合が有るなどの問題もあります。その他では、ヒスタミンH2受容体拮抗薬である シメチジンや、ロイコトリエン拮抗薬が一部の症例に有効であることが示されています。内科的治療に抵抗する症例には扁桃摘出術が行われ、高い有効性(寛解率70~80%)が示されています。
免疫系疾患分野|周期性発熱・アフタ性口内炎・咽頭炎・リンパ節炎症候群(PFAPA)(平成24年度) /難病センター 引用
用法
発熱予防として使用されます。
シメチジン:10~20㎎/kg/日 分2 内服
効果不十分の場合増量可能(ただし成人上限800㎎/日を超えないこと)
またプレドニンで発作を抑制する治療をすることもあります。
プレドニン: 0.5〜1mg/kgを1〜2回
2回目は発熱が頓挫しない場合に12~24時間以内に内服
引用:autoinflammatory-syndrome.pdf (jcqhc.or.jp)
シメチジンはどう作用する?
ここで思い出してほしいのがH2受容体がリンパ球にも存在しているということである。
シメチジンはTリンパ球上のH2受容体に拮抗することによってT細胞の活動抑制や、マクロファージ等の活動に影響するIL-2やINF-γの産生を促進することによって、免疫調節作用を持つ可能性が示唆されている。
ただあくまで示唆されているだけであって、まだまだ研究中なので治療は医師の経験に基づきます。
他にも適応外が?
H2受容体は他に副甲状腺にも存在している。副甲状腺はパラトルモンというホルモンを分泌する機構を持ち、このパラトルモンの働きとしては血中のカルシウム濃度を上昇させる作用がある。なので関節への石灰化による関節痛にも使われたりします。
またH1ブロッカーとH2ブロッカーの併用療法による慢性蕁麻疹にも使われることもあります。
他にも、胃がん、大腸がん、悪性黒色腫に延命効果があったなどの報告があります。
最後に
ほんとにこういうのって実際遭遇してみないと調べもしないことですよね(笑)。
ただ患者さんは「薬剤師はわかっていて当然」のスタンスで来られるので、服薬指導の幅を広げるためにもしっかり知識として増やしておきたいですね。
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