今日はこんな質問から
これ下剤らしいけど”寝る前”となっとる。寝る前やと寝てるときにトイレにいきたくなるんとちゃう?
まぁたしかに薬って飲んだらすぐに効くというイメージがありますよね。他に
ずっと飲んでると効きにくくなってくるって本当?
耐性ですね。この質問を軸にセンノシドについてまとめていきます。
プルゼニド(センノシド)って?
プルゼニドⓇはセンノシドと言われるセンナやダイオウに含まれる生薬由来の成分です。
センノシドを主成分とする薬剤はプルゼニドⓇやソルダナⓇ、センナエキスにアジャストコーワⓇ、センナ・センナ実にアローゼンⓇなどがあります。
どのように作用する?
センナに含まれるセンノシドはそれ自体に活性はなく、腸内細菌によって代謝を受けることで薬としての効果を見せます。センノシドが代謝を受けるとレインアンスロンという物質に変わり、これが大腸に刺激を与えることで大腸を活発にさせ、排便を促します。
腸内細菌がいないと効果が出ないんやね~
ということは作用するのに結構時間かかる?
プルゼニドの添付文書にはこう書かれています。
プルゼニドの作用は通常投与後8~10時間で発現する。
プルゼニド添付文書
寝る前に処方されるのは、朝起きた時に効くよう狙ってるんやね。
用法
センノシドA・Bとして、通常成人1日1回12~24mgを就寝前に経口投与する。高度の便秘には、1回48mgまで増量することができる。なお、年齢、症状により適宜増減する。
プルゼニド添付文書
基本は2錠で、そこから様子見て調節、っていう感じやね。
副作用について
主な副作用は腹痛(5%以上)、下痢、悪心・嘔吐、腹鳴(1~5%)となります。
大腸を薬で人工的に活発に促すので消化器症状の副作用が主になります。
頻度不明に脱水や低カリウム血症があるけど、これは下痢に伴う症状ということも頭に入れておこう。
禁忌について(飲んではいけない)
上記の副作用から関連付けると覚えやすいかもしれません。
1. 本剤の成分又はセンノシド製剤に過敏症の既往歴のある患者
2. 急性腹症が疑われる患者、痙攣性便秘の患者
3. 重症の硬結便のある患者
4. 電解質失調(特に低カリウム血症)のある患者には大量投与を避けること
1はアレルギー、2は腸を刺激することから悪化、3は便がコンクリート並みに硬くなっていると効果も得られにくく、腹部の痛みも悪化、4は下痢した時の低K血症を助長することから禁忌となります。そして原則禁忌に…
原則禁忌に”妊婦”がありますが、これは
「大量に使用すると子宮収縮を促し、流産や早産のリスクが上がるから」と言われています。
では何故”原則”禁忌かというと
便秘の傾向をもつ婦人が妊娠すると妊娠による腸管の圧迫によりさらに便通が不規則になると言われている。妊娠初期においてはつわりの症状を悪化させ妊娠末期では下部腸管にさらに強い圧迫をあたえるため、やむを得ず下剤を投与することがあるので原則禁忌とした。
プルゼニド錠12mg インタビューホーム
インタビューホームにも記載がある通り、実際妊婦さんにセンノシドを使う場面はあります。
例えば1st choice の酸化マグネシウムが無効な場合などです。
でも原則禁忌なんて書かれていたらDrからの処方でも怖いよね…
そう思う方も少なからず、いや…多くいらっしゃると思いますが、妊婦に対するセンノシドの安全性はこちらの記事で詳しく解説されています。
ここで紹介されてる論文では奇形や早産のリスクは少なそうやね。
ただむやみに使うのはNGですので、必ず主治医の指導の下、少量で服用したほうがええね。
妊婦さんに薬を販売して、もしものことが起こった場合、薬の副作用でなくても、薬が原因として見られる場合があります。それによって訴えられるのを防ぐ意味合いで「基本販売しない」というルールが設けられているドラッグストアもあるので、基本は服用前に主治医に相談ですね。
耐性について
よく刺激性の便秘薬は耐性があるからと言いますけど実際はどうなんでしょう。
添付文書の重要な基本的注意にはこう書かれています。
連用による耐性の増大等のため効果が減弱し、薬剤に頼りがちになることがあるので長期連用を避けること。
プルゼニド添付文書
やっぱり耐性はできるんやね。MAXの4錠使っても効かないのであれば耐性ができたという目安にしてもええかな。
せやなぁ…。だからあまり長期的に使いたくないというのはあるかもしれないけど、実は小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン2015にはこんなことも書かれているで。
以下要約。
長期間使用することにより耐性や習慣性が現れることがあるが、それを示唆する十分なエビデンスはない。
Slow colonic transit を伴う重症便秘症例に対して耐性獲得がみられることがあるが大多数の下剤使用者に耐性は見られない。
とまぁ過剰に心配することはなさそう。ただ連用してもいいということではないので注意しよう。
うまく使うなら
長期に使ってはいけないってことだけど、どう使ったら?
市販薬でもセンノシドは購入できますが、登録販売者や薬剤師からは長期に使ってはいけませんと説明されることもあるでしょう。ではどう使えばいいのか。
まず、便は毎日出る必要はないということ(過敏になる必要がないという意味で)を念頭に置いておき、基本は非刺激性の酸化マグネシウムを使います。整腸剤を併用してもいいでしょう。そしてそれが無効であれば、センノシドの出番です。
便が出なかった日は寝る前にセンノシドを服用して、1回でも便が出た日センノシドは飲まない。
毎日センノシドを連用しなければ耐性も心配することはないので、こういった使い方がベストです。
ただ1週間ほどセンノシドを毎日服用しても全く便が出ないのであれば、素直に医療機関にかかられた方が無難です。
まとめてきな
まとめると
・センノシドは服用後8~10時間ほどで効果発現。
・耐性ができる報告もあるが大多数で問題ないとされる(ただし連用は注意)
・妊婦さんは大量に使わなければリスクは少ないが、服用前は基本主治医に相談。
いかがだったでしょうか(小並感)
耐性ができるからと言って服用を怖がる患者さんもいらっしゃるは思いますが、むしろ
薬剤を怖がるあまり服用をせず、便がたまり、腸閉塞などを起こすことに問題がありますのでうまく使っていきたいものです。
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