過敏性腸症候群で代表的な薬と言えばイリボーですね。(じゃあなぜコロネルから記事を書きだしたのか…)。タイトルにもありますが、イリボーは男女で薬の投与量が違いますので注意ですね。では見ていきます。
前回のコロネル
イリボーって?
イリボーの主成分は【ラモセトロン塩酸塩】です。
過敏性腸症候群(IBS)は下痢型や便秘型、または混合型、そのいずれでもない4つに分けられますが、イリボーは下痢型のIBSの症状を改善させるお薬です。
初めて世に出た時は男性の下痢型IBSの適応しかありませんでしたが、その後さらなる試験を経て女性への適応も取得し、男女どちらのIBSにも使えるようになっています。
服用するときは必ず下痢状態が続いているかどうか(下痢型IBS)をチェックしていきます
便秘が混じる混合型の場合、悪化させてしまう可能性があるからね
どのように作用する?
IBSで下痢が起こる要因としてストレスなどにより大腸においてセロトニンが分泌されると、それが5-HT3受容体に作用し、腸が活発化することで下痢を引き起こします。またセロトニンによる刺激が求心性神経を介して脳に伝わり腹痛を引き起こします。
イリボーはこのセロトニンの受容体である5-HT3受容体をブロックすることで、IBSによる下痢や腹痛を改善させます。
イリボーは最初フィルムコーティング錠が発売されて、そのあとにOD(口腔内崩壊)錠が発売されていますね
IBSは冷水を飲むことで血中のセロトニン濃度が上昇する報告もあることから、薬を飲むときに少ない量の水で飲めるOD錠が開発されたんよね
用法用量
用法用量は
通常、成人男性にはラモセトロン塩酸塩として 5μgを1日1回経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は10μgまでとする。
通常、成人女性にはラモセトロン塩酸塩として2.5μgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分の場合には増量することができるが、1日最高投与量は5μgまでとする。
イリボー錠2.5・5ug (astellas.jp) より
男性と女性で通常量が違うね
食事には影響しないので1日のどのタイミングでも問題ないです。飲み忘れに気づいたときは、気づいた段階で飲むようにしましょう。基本は医師の指示通りに
どれくらいで効く?作用時間は?
単回投与したときに
健康成人男女に本剤 5μgを空腹下単回経口投与したとき、血漿中未変化体濃度は約 1 ~ 3 時間でCmaxに達した後、約5 ~ 7 時間の半減期で消失した。
イリボー錠2.5・5ug (astellas.jp) より
本薬は投与後 8 時間でも抑制作用を示すことが明らかとなっており、本剤の作用持続は長いと考えられた。
イリボー錠2.5μg・5μg・OD錠2.5μg・5μg(第16版) (astellas.jp) より
個人差はあるけれど、だいたい1~3時間で効いてきて効果は8時間くらい続く感じやね
あれ?効果は8時間くらいやのに1日1回でいいの?
IBSの症状は覚醒時の時だけだから、終日効かさなくてもいいという判断から1日1回だけになってるんやで
有効性は?
イリボー投与によって※下痢や腹痛、腹部の不快感などの症状がなくなった!という方は
※レスポンダー率(約) | 1週目 | 2週目 | 12週目 | 28週 |
男性 (5μg維持) | 20% | - | 46% | 71% |
男性 (プラセボ) | 11% | - | 24% | - |
女性 (2.5μg維持) | - | 26% | 51% | 69% |
女性 (プラセボ) | - | 14% | 32% | - |
3か月くらいで半分くらいが「効いた!」という感じやね
治療上の注意としては1か月ごとに症状を確認(薬が効いているか)して、3か月を目処に治療継続か終了かをチェックしていきます
副作用は?
イリボーは用量依存的に副作用の発現率が高まると報告されています。
主な副作用としては腹部膨満、便秘及び硬便があります。
男性では10μg、女性では5μg以上服用すると副作用の発現率が高い傾向にあります。
ただ、保険適応内の用量で発現した副作用はいずれも軽度であり、休薬することにより速やかに回復することも報告されています。
飲み合わせに注意がいるものは?
イリボーの主成分ラモセトロンの代謝は主にCYP1A1、CYP1A2及びCYP2D6が関与しているとされ、一次代謝にはCYP1A2及びCYP2D6が関与していると考えられています。
なのでイリボーの併用試験ではCYP1A2を阻害するフルボキサミンとCYP2D6を阻害するパロキセチンとの影響を調べていますね
フルボキサミンとの併用はラモセトロンの血中濃度が上昇していますね。Cmaxが1.4倍ならまぁ最低用量だったらまぁ…って感じですね。あとパロキセチンは外国人のデータでは影響なかったけど、CYP2D6の発現は日本人にやや多い傾向にあることから、影響はないとしても注意はしておいたほうがいいですね。
代謝酵素での相互作用はこんなところ。
他にはイリボーは下痢を治す方向に働くことから、効きすぎると便秘方向へ促されます。
それに関連して注意が必要なのは便秘を促してしまう抗コリン薬には注意が必要です。
あげるときりないですが、一部の向精神薬や下痢をするからと市販薬で下痢止めを併用するパターンが注意となります。
参考
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