どうも!えふえむ(@fmyaku1015)です。
薬剤師なら誰もが知っている整形外科や歯科でよく出るあいつ…。
そう、ロキソニン(ロキソプロフェンNa)ですね!
もはや触らない日はないのではいかと思うくらい薬剤師にとっては身近な医薬品ですね。
新人の薬剤師さんは最初の登竜門として服薬指導に行かされるのではないでしょうか?
しかし、されどロキソニン。広く多く使われていて安全性はある程度あるとは言え、やはり注意しなければいけないことはあります。
新人の薬剤師さんはもちろん、中堅薬剤師さんもおさらいがてらに勉強していきましょう!
新人薬剤師
ロキソニンをおさらいしたい人
におすすめです。

俺を超えて行け…!
ロキソニン(ロキソプロフェンNa)の基本情報
作用機序
ロキソプロフェンNaは非ステロイド性抗炎症薬であり、その英語のnonsteroidal anti-inflammatory drugsの頭文字をとってNSAIDsと呼ばれています。
NSAIDsの作用点はCOX(シクロオキシゲナーゼ)であり、COXを阻害することでアラキドン酸からPG(プロスタグランジン)への合成を阻害します。PGは発熱、痛覚伝導作用、血小板凝集作用をありますので、その産生を阻害することで
- 解熱、鎮痛、抗炎症作用
- 血小板抑制作用
NSAIDsは効能を示します。
COXには種類があって
- COX-1:常時発現している酵素で腎血流の維持・血管拡張・胃粘膜保護作用に重要な関わりを持つ
- COX-2:炎症が発現している部分に発現し、PG産生に関与する
があり、ロキソプロフェンNaはCOX-1、COX-2どちらも阻害します。
適応・用法用量
- 関節リウマチ、変形性関節炎、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛、抜歯後の歯痛の鎮痛・消炎
➡通常、1回60mgの1日3回まで。 頓服の場合、1回60~120mgを経口投与。適宜増減あり。
- 急性上気道炎(いわゆる風邪)の時の解熱、鎮痛
➡頓服で1回60mg。原則1日2回までだがMAX180mgを限度とする。

いわゆる筋肉や関節の痛み止めや
体内動態
体内動態については添付文書を見てみましょう。
吸収と代謝
Cmax(µg/mL) |
Tmax(hr) | t1/2(hr) | |
ロキソプロフェン |
5.04±0.27 | 0.45±0.03 | 1.22±0.07 |
trans-OH体(活性代謝物) | 0.85±0.02 | 0.79±0.02 | 1.31±0.05 |
Cmax:最高血中濃度
Tmax:最大ピーク到達時間
t1/2:半減期
この表から見るに簡単にまとめると
- 最大の効果が発揮する時間は約30分(Tmaxから)
- 効果の持続時間は4~6時間((半減期×4)時間経過すると体からほとんどなくなっていることから)
排泄
未変化体と代謝物どちらも肝臓でグルクロン酸抱合を受け、抱合体となることで排泄される。
ちなみに肝臓での代謝では
- 第1相反応:チトクロームP450(CYP)による代謝
- 第2相反応:抱合による代謝
で代謝されることで薬物の水溶性を高め、腎臓で排泄しやすいようにします。

ロキソプロフェンNaは抱合のみの代謝でCYPは関係せーへんで
副作用
頻度が多い副作用は
- 消化器症状、特に胃粘膜の荒れ(約2%)
- 浮腫やむくみ(薬0.6%)
が有名ですね。

1の理由は胃PG合成阻害にすることによって、胃粘膜層が薄くなるから、2の理由は腎血流量が減少することにより、腎臓への負担が重くなるからやで
重い副作用は確率としては低いが
- 急性腎障害
- 消化管出血、穿孔
- 喘息発作
などがあります。

腎臓に関しては注意しておいた方がいいかも
製剤工夫
ロキソプロフェンNaはプロドラッグです。

考えんとんな~
服薬指導では
さぁ薬の事はわかりました。次はどう患者さんに指導するかですね~。
基本的な確認
最低でも患者さんに確認しておきたい項目はこれです。
- 胃潰瘍されたことがあるか、またはその最中か
- 過去に痛み止めを服用して喘息を起こされていないか(アスピリン喘息)
- 腎臓が極端に悪くないか
- 肝臓が極端に悪くないか
- 重篤な心機能不全を起こされていないか
- 妊娠されていないか
です。

です。ってこんなにいっぱい実際聞こうと思ったら大変やで?

でも、禁忌なんやもん…
はい。実際聞こうとするとこんなには時間取れません汗
でも安心して下さい。
あらかじめ患者さんには問診表を書いてもらっています。

うん、知ってた
問診表には
- 病歴や併用薬など
- アレルギー
- 妊娠されているか
などの質問項目があるので、患者さんが記載された項目で不明な部分を聞くようにしましょう。
※問診を拒否する場合は真剣な顔して「薬が飲めない場合がありますので質問をいくつかさせてください」と押しましょう(苦笑)
症状の確認
次に症状の確認ですが、ロキソプロフェンNaの適応にもあるとおりに筋肉やのど、関節などのPGが関係している痛みには効能があります。

どういうこと?
例えば
- 頭が脈打つような頭痛(片頭痛)
- 胃やお腹の痛み
- 神経痛などのピリピリした痛み
このような症状は効きません。
理由としては痛みの発生機序にPGは関係していないからです。
なので、症状の確認はする必要があります。
適応に当てはまらない場合は服用しても効果がない事を説明した後に疑義照会するようにしましょう。
副作用の説明
頻度が高い副作用は胃腸障害です。プロドラッグすることで胃腸障害が起きにくい工夫はされているものの完全には防げるわけではないので、「胃がもたれる、痛くなることがあれば使用を中止して医療機関へ受診されるようにしてください」とお伝えします。
また、急性腎障害も起きる可能性もありますので「むくみや尿が出にくいようなことがございましたら、使用を中止して医療機関へ受診されるようにしてください」と伝えましょう。
飲み方の説明
処方は
- 1日3回毎食後
- 頓服
のパターンが多いです。
ロキソプロフェンNaを服用するのは原因治療ではなく対症療法の場合がほとんどですので、薬剤師的には「痛い時だけ服用して2回目は5~6時間以上あけてください」と説明します。
また胃腸障害を回避するため「食後に必ず飲んでください」との説明もします。
注意:ただし抗炎症作用を目的として処方されている場合があるので1日2~3回などの場合は医師に飲み方を指示されているか、患者さんから聴取します。
薬の相互作用
ロキソプロフェンNaは腎臓のPGの産生を阻害することから腎血流量を低下させる
腎臓で排泄する薬や作用機序に腎臓が関与するものは注意が必要です。
排泄:リチウム製剤、メトトレキサート(血中濃度↑)
Naと水の排泄減少から:チアジド系利尿薬、ACE阻害薬、ARB(効果↓)
ロキソプロフェンNaは血小板凝集抑制効果を持つ(血をサラサラにする)
血液の凝固を防ぐようなものは作用が増強されます。
ワルファリン、第Xa因子阻害剤など
ロキソプロフェンNaは血中でほとんどがタンパクと結合している。
血液中のタンパクとロキソプロフェンで約97%、活性体(trans-OH体)で92.8%と非常に高い。なので同じくタンパク結合率が高い薬物は注意が必要です。
SU薬のドルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリドなど
ロキソプロフェンNaはニューキノロン系のGABA阻害を増強させる
レボフロキサシン、シプロフロキサシンなど

併用薬は必ず聞いておきましょう
継続的に処方されている患者さんに対して
どうしても痛みが取れなく、毎回ロキソプロフェンNaを処方されている方もよく見られます。
確認事項としては
- 胃が痛くないか、または定期的に胃カメラなどで検査をしているか
- 服用頻度はどのくらいか
- むくみなど起きていないか
は聞いておきます。

長期で処方されている人は定期的な血液検査、尿検査は行っておいた方がええで
インフルエンザの時は
インフルエンザは熱が高くなりますよね。
そんな時、熱さましに使える解熱剤はロキソニンは推奨されていません。
なぜならインフルエンザ脳症のリスクが増えるからです。
インフルエンザ時に使える安全性が高い熱さましは大人、子供ともアセトアミノフェンが推奨されています。
まとめ
- 効果の発現は約30分、持続時間は4~5時間
- 副作用:胃腸障害、腎障害、出血傾向に注意
- 併用薬確認(ワルファリン、メトトレキサートなどのハイリスクは特に)
とまぁ基本中の基本(?)のロキソニンですが、結構注意することはあるので、たかがロキソニン、されどロキソニン。
しっかり理解しておきましょう。
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