HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬) 特徴

代謝疾患系

スタチン系薬にはおおまかに

  • スタンダードスタチン
  • ストロングスタチン

 に分けられる。

作用機序

スタチンはコレステロール生合成を調節するHMG-CoA還元酵素を特異的にかつ競合的に阻害する。肝細胞内のコレステロール量を減らすことでLDL受容体の発現が誘導され、血中から肝細胞内へのLDLコレステロールの取り込みが更新し、血清コレステロールが低下する。

このLDLの増加はスタチン系の濃度が低くなったとしても、しばらく持続すると言われている。

なので半減期の短いスタンダートスタチンだとしても、1日1回で済むのはこの理由から(メバロチンは2回だが)。

ふみやさん
ふみやさん

たまにストロングスタチンが隔日投与で処方が来るけど、これはこの作用機序の仕組みがあるから、隔日でもいけるんや!

スタンダートスタチン(LDL約20%ほど低下)

スタンダートスタチン
先発名 メバロチン錠5㎎,10㎎
メバロチン細粒0.5%,1%
リポバス錠5㎎,10㎎,20㎎ ローコール錠10㎎,20㎎,30㎎
後発名

プラバスタチン錠5㎎,10㎎「各メーカー」
メバレクト錠5mg,10mg

シンバスタチン錠5㎎,10㎎,20㎎「各メーカー」 フルバスタチン錠10㎎,20㎎,30㎎「各メーカー」
配合剤 なし なし なし
先発品
日本での販売年
1989年
1991年
1998年
特徴
胆汁及び腎臓排泄型。水溶性。
肝機能障害患者にも投与ができる。
冠動脈硬化の進展抑制効果あり。
肝代謝型(主にCYP3A4)。脂溶性。
併用禁忌の薬が多い。
冠動脈硬化の進展抑制効果あり。
作用はプラバスタチンより強め。
肝臓代謝型(主にCYP2C9) 脂溶性。
冠動脈硬化の進展抑制効果あり。
高齢者や閉経後女性など酸化ストレスが亢進している患者に適している。
ローコールのみ夕食後指定。
メバロチン、リポバスは夕食後の方が望ましいという記載

ストロングスタチン(LDL約30-50%ほど低下) 

ストロングスタチン
先発名 リピトール錠5㎎,10㎎ リバロ錠1㎎,2㎎,4㎎(ODあり) クレストール錠2.5㎎,5㎎(ODあり)
後発名 アトルバスタチン錠5㎎,10㎎「各メーカー」 ピタバスタチン錠1㎎,2㎎,4㎎「各メーカー」(ODあり) ロスバスタチン錠2.5㎎,5㎎「各メーカー」(ODあり)
配合剤

カデュエット配合錠1~4番(+アムロジピン)GEあり

アトーゼット配合錠LD,HD(+エゼチミブ)

リバゼブ配合錠LD,HD(+エゼチミブ)

ロスーゼット配合錠LD,HD(+エゼチミブ)
先発品
日本での販売年
2000年
2003年
2005年
特徴
肝臓代謝型(主にCYP3A4) 脂溶性。
冠動脈硬化の進展抑制効果あり。
代謝物も同程度のHMG-CoA還元酵素阻害作用を持つ。
LDL受容体増加作用あり。
CYPによりほとんど代謝されない(CYP2C9でわずかに代謝)が
シクロスポリンは禁忌。
親水性のため相互作用が少ない。シクロスポリン禁忌。
腎機能低下患者は投与量に注意。

薬剤別

リバロ(ピタバスタチン)

クレストール(ロスバスタチン)

 

HMG-CoA還元酵素阻害薬の歴史

  • 1989年
    メバロチン錠 販売

    国内初のHMG-CoA還元酵素阻害薬。水溶性で相互作用が少ない。

  • 1991年
    リポバス錠 販売

    併用禁忌の薬が多い。メバロチンより少し作用が強め。

  • 1998年
    ローコール錠 販売

    初めて化学合成によって生み出されたスタチン。

  • 2000年
    リピトール錠 販売

    国内初のストロングスタチン。

  • 2003年
    リバロ錠 販売

    代謝酵素CYPによる影響が少ない。

  • 2005年
    クレストール錠 販売

    水溶性スタチン。こちらも影響は少なく、処方されやすい。

  • 2009年
    カデュエット配合 販売

    アトルバスタチンとアムロジピンの配合剤。スタチンを服用されている方は降圧剤も服用されていること多いので、配合剤が登場した。

  • 2018年
    アトーゼット配合錠 販売

    アトルバスタチンとエゼチミブの配合剤。エゼチミブと併用することにより、効果的にLDL-Cを下げられることから配合剤が登場した。

  • 2019年
    ロスーゼット配合錠 販売

    ロスバスタチンとエゼチミブの配合剤。

  • 2022年
    リバゼブ配合錠 販売

    ピタバスタチンとエゼチミブの配合剤。

 

副作用

有名どころは横紋筋融解症。

特に腎機能が低下している方はでやすいと言われている。

副作用に気づくポイント

筋肉痛が続いたり、何もしないのに関節が長時間痛む場合や、血尿、コーラ色の尿があった場合は横紋筋融解症の可能性あり。

また、横紋筋融解症はCK(クレアチニンキナーゼ)値が上昇するので、血液検査でも判断できます。

確率としては

米国における調査ではスタチン服用者において筋肉痛は、2~7%で生じ、CK上昇や筋力低下は 0.1%~1.0%で認められる。重篤な筋障害は 0.08%程度 で生じ、100 万人のスタチン服用者がいた場合には、0.15 名の横紋筋 融解による死亡が出ていることになるという。

重篤副作用疾患別対応マニュアル :横紋筋融解症

コレステロールを下げる目的

コレステロールを下げる事は動脈性硬化性疾患の予防にあります。

一般的に140mg/dLまで下げればいい!とよく聞かれると思いますが、リスク区分によって下げる目標値が違うので注意が必要です。例えばステント治療などされている方は100mg/dL以下まで下げるよう推奨されています。

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版 より引用

最後に

メバロチン、リポバスは夕食後の方が望ましいという記載

ざっとこんな感じですかね

他に注意があるとすれば、CYP3A4で代謝されるリポバス、リピトール、リバロはグレープフルーツジュースとの併用は薬剤の血中濃度が数倍上がってしまうので注意が必要です。

ちなみにコレステロールの生合成は寝てる間に合成が進むので服用時間は夕食後のほうが望ましいが、半減期が長い↓の薬剤については

  • リピトール:10時間
  • リバロ:11時間
  • クレストール:15-20時間
こむこむ
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いつ服用しても構いません。


ふみやさん
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こむこむ
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