作用機序
フィブラート製剤は肝臓のペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体α(PPARα)に作用することで主にTGの分解とTGの合成阻害によって
TG(中性脂肪)の低下作用
を示す。
他にもApoA-1、ApoA-2というタンパク質を増加させることで
HDL増加作用
を示す。
薬剤種類別
クロフィブラートはかなりマイナーなので割愛。
ぺザトール(ベザフィブラート)
高脂血症(家族性を含む)
通常,成人にはベザフィブラートとして1日400mgを2回に分けて朝夕食後に経口投与する。 なお,腎機能障害を有する患者及び高齢者に対しては適宜減量すること。
本剤は主として腎臓を経て尿中に排泄されるので,腎機能障害のある患者への投与には十分注意する必要がある。投与にあたっては,下表の血清クレアチニン値に応じて減量すること。
また,高齢者では,加齢により腎機能の低下を認める一方で,筋肉量の低下から血清クレアチニン値の上昇が軽微であるため,下表のクレアチニンクリアランスに応じた投与量の調節を行うこと。
なお,投与量はクレアチニンクリアランスの実測値より設定することが望ましいが,患者の身体状況等を勘案し,実測することが困難である場合には,例えばクレアチニンクリアランスと高い相関性が得られる下記の安田の推定式を用いる等により,用量の設定を行うこと。
男性
(176−年齢)×体重/(100×血清クレアチニン値)
女性
(158−年齢)×体重/(100×血清クレアチニン値)
血清クレアチニン値 | クレアチニンクリアランス | 投与量 |
Scr≦1.5mg/dL | 60mL/分≦Ccr | 400mg/日 (200mg×2) |
1.5mg/dL<Scr<2.0mg/dL | 50mL/分<Ccr<60mL/分 | 200mg/日 (200mg×1) |
Scr:血清クレアチニン値 Ccr:クレアチニンクリアランス
特徴
徐放錠が主流。分2。
高TG(中性脂肪)血症に対して効果的だが総コレステロールを下げる作用もある。
アセチルCoA活性を抑制作用、HMG-CoA還元酵素活性の低下作用あり。
こちらもあまり使われなくなってるイメージ。
トライコア(フェノフィブラート)
高脂血症(家族性を含む)
総コレステロールのみが高い高脂血症(IIa型)に対し、第一選択薬とはしないこと。カイロミクロンが高い高脂血症(I型)に対する効果は検討されていない。
通常、成人にはフェノフィブラートとして1日1回106.6mg〜160mgを食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。1日160mgを超える用量は投与しないこと。
総コレステロール及びトリグリセライドの両方が高い高脂血症(IIb及びIII型)には、1日投与量を106.6mgより開始すること。なお、これらの高脂血症患者において、高血圧、喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターを有し、より高い治療目標値を設定する必要のある場合には1日投与量を159.9mg〜160mgとすること。
トリグリセライドのみが高い高脂血症(IV及びV型)には、1日投与量53.3mgにおいても低下効果が認められているので、1日投与量を53.3mgより開始すること。
肝機能検査に異常のある患者又は肝障害の既往歴のある患者には、1日投与量を53.3mgより開始すること。
急激な腎機能の悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがあるので、投与にあたっては患者の腎機能を検査し、血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上の場合には投与を中止し、血清クレアチニン値が1.5mg/dL以上2.5mg/dL未満の場合は53.3mgから投与を開始するか、投与間隔を延長して使用すること。
本剤はフェノフィブラートの吸収を高めるため、固体分散体化した製剤であり、本剤106.6mgは微粉化フェノフィブラートカプセル製剤134mgと、また本剤160mgは微粉化フェノフィブラートカプセル製剤200mgと生物学的に同等である。
特徴
1日1回でよい。
高TG(中性脂肪)血症に対して効果的だが総コレステロールを下げる作用もある。
アセチルCoA活性を抑制作用、HMG-CoA還元酵素活性の低下作用あり。
フェノフィブラートは尿酸トランスポーター(URAT1)を阻害する作用があるため、尿酸値を低下させる報告あり。
パルモディア(ペマフィブラート)
高脂血症(家族性を含む)
LDL-コレステロールのみが高い高脂血症に対し、第一選択薬とはしないこと。
通常、成人にはペマフィブラートとして1回0.1mgを1日2回朝夕に経口投与する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、最大用量は1回0.2mgを1日2回までとする。
肝障害のある患者(Child-Pugh分類Aの肝硬変のある患者など)又は肝障害の既往歴のある患者に投与する場合には、必要に応じて本剤の減量を考慮すること。
急激な腎機能の悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがあるので、投与にあたっては患者の腎機能を検査し、血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上の場合には投与を中止し、1.5mg/dL以上2.5mg/dL未満の場合は低用量から投与を開始するか、投与間隔を延長して使用すること。
特徴
ベザトール、トライコアほど肝機能障害のリスクは少ないと言われている。
CYP3A、2C9で代謝され、胆汁排泄型。
シクロスポリン、リファンピシンとは併用禁忌。
副作用
有名どころは横紋筋融解症。
特に腎機能が低下している方はでやすいと言われている。
ただ、パルモディアに関しては他2剤よりも安全性を重視して開発されているだけあって(まだ発売して期間が短いのもあるが)横紋筋融解症の報告はされていない。
最後に
中性脂肪が目立って高い場合はフィブラート系が候補に挙がる。
と言ってもメインは中性脂肪低下作用だが、LDL低下作用、HDL増加作用も併せ持つのでまとめて脂質異常症の薬として認識していいでしょう。
国試の時はフィブラー「ト」➡「ト」リグリセリドって覚えたっけ。
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